帰農塾 参加者 レポート 
KINOUJUKU SANKASYA REPORT
11月21日~23日 里山帰農塾 11月 ~里山の知恵を知る~  
 
2009.11.23 更新日 2009.12.9


里山帰農塾を終えた月の決意
T.H

 私は恵まれた環境にいるんだと痛感した。普段の暮らしこそが、里山農村生活なのである。朝、にわとりの鳴き声で目が目覚める。鳥のさえずりがあって目の前には、でーんと広がる山々。そんな景色が目覚めてすぐ視界に入ってくるのだ。都会暮らしの人が憧れる光景らしい。
 田舎育ちの私と都会のサラリーマン家庭で育ってきた主人。少し価値観の違う二人がこれからの田畑を継いでいくのだ。農業に関して少し知識があるのは私だけど、閉そく感というか冒険する事のできないところがある。
 一方主人は、固定観念もなく白からのスタートなので常に疑問なことばかりだそうだ。だから新しいことにチャレンジしたがる。そこで私がいつも「どうせ無理なんだからやめなよ」「やっても時間と労力とお金のムダなんだから…」と言ってしまう。というか言って しまっていた。でも明日からは違う気がする。「やってみれば」「すぐに成功したっておもしろくない。昔好きだった土遊び、泥遊びをしよう」と言っているかな…?そんな会話ができる自分でいたいと思います。

 また気持ちが揺れて自分の行く先が迷った時は、この里山帰農塾の門をたたきます。


里山帰農塾に参加して
K.H
 
 今年は農について、真剣に考え始めた一年だった。それまでは、家に畑や田んぼがあり、稲作を手伝ったり、さつまいもとかを作ったりして、半農半Xについて書いた本を読んだときは自分も似たようなことをやっているじゃんとしゃれで考えていただけだった。でも、今年一年、NPOを通して体験農園の企画をやり、家の畑も本格的に開墾し、一年を通して作物を作り始めことで、会社員としてのXの他に農の比重と高まって、半農半Xっぽいことをやっているのかなとあらためて思うようになってきた。
 今回の里山帰農塾に参加した一番の理由は農について考えはじめたものの、自分のライフスタイルとして、しっかりとした考え方を持って取り組んでいるわけでは無く、何となく楽しいからという安易な考えで本当にいいのかと疑問に思ったからだ。もう一度考え直すことで、Xも農ももっと充実したものになるような気がした。
 実際に里山帰農塾を受講して、あらためて自分が普段、何も考えていなかったことを認識させられた。私達と同じ受講生も農的くらしを求めて、参加していたし、授業でお会いした人や講師の方もすごく生き生きと今の生き方を楽しんでいるように感じた。自分がどうしたいか結論が出ているわけではないが、これからどうしたいのかを考えるにあたって、非常に参考になったし、刺激を受けた。もう一つ、農を実践することは、自然、地域、人、全てを大切に思うことが大切だと新ためて考えさせられました。


とりあえずは、また一歩
R.S

 「間違っていなかったな」というのが、二泊三日の里山帰農塾を終えての素直な感想。多分、自分はきちんと自分のあるべき方向に向かっているんだと思う。それは別に、何か明確な形のあるゴールではなくて。自分がいちばん生きやすい方向、楽しめる方向、やさしくなれる方向。それが、私にとって「農に帰る」ことなのだと改めて感じました。
 欲を言えば、里山実習はもっと時間をかけてやりたかったし、自炊でもよかったかも。楽しいところ、ラクなところだけ切り出して体験されてもらったように思います。何の知識も技術も持たない自分に、ここでできることなどほとんどありはしないのですが…。
 とりあえずは、また一歩。目指す方向に近づく事ができました。たった二泊三日の農的体験ですが、講師やスタッフの方、研修生の方、移住先輩や同じ講義を受けた方と、自由かつ率直に話をする中で、とても小さなものではあるけれど、確信の火が灯りました。うん、多分こっちで間違っていない。一年前でなく、半年後でもなく、いまこのタイミングでこの一歩を踏んだことも、私のあるべき方何に必要なことだったんだろう。
 おおらかに、悠然と、楽しみながら、自分を活かせる「農に帰る」生き方を、これからも模索していきます。あんまり「X」にこだわらず、自分にできることからまた一歩ずつ。先は長いけど、楽しい道のりだ!!


One step for the next Action
T.S

 今回私が里山帰農塾に参加した目的は、ここ数カ月の間に知り、興味をもった「農的な暮らし」や「半農半X」というライフスタイルをより深く知りたい、そして自分にできるものなのか、また実現していく上でどのようにしていけばよいのかを知りたいというものでした。
 東京で生まれ、東京でサラリーマン生活をしていた私には、農村での生活も農業についても、全く予備知識がない状態でしたので、ここでの作業や講義の内容は、新鮮で興味深く、面白いものでした。しかし「半農半X」の具体的なHOWの部分のヒントを得たい、という気持ちが強かったので、実際に実践されている人の話を直接きけたり、様々な具体的事例を知ることができたのが、やはり一番大きな収穫であったと思います。
 二泊三日の滞在を通して感じたことが二つありました。一つは、どこに住み何を業としていくかは、人それぞれの価値観に基づくものであり、自分はまだその点で十分掘り下げていくことが必要だということ。もう一つは、農村での暮らしだけでなく、住む地域や家を見つける上でも、仕事を見つける上でも、人とのつながりがおそらくは一番大切だということです。
 今回得ることができた、自分にとっての理想のライフスタイルを実現するHOWの部分でのヒント、知識。これらを活かして、自分なりにどこで何をしていくのか、という部分を再度整理していって、理想を現実化していきたいと思います。
 行動を起こさなければ何も始まらない。帰農塾を機会に鴨川のコミュニティとの交流も継続して、今後も様々なことを学んでいくと共に、農の分野や他の地域のこと、様々なことを学びつつ、自分なりの道を一歩ずつ進めていければと考えています。今回はその為の貴重で、また大変有意義な一歩となりました。
 最後に、帰農塾のスタッフの方達の大変な準備と温かいおもてなし感謝いたします。
 お陰様でとても有意義で楽しい三連休を過ごすことができました。


出逢い
Y.K

 今年最後の帰農塾。5月から自然王国で研修を始め、早くも7カ月が経とうとしています。自然王国に来る前は都会の消費生活、資本主義、物質を追い求める生活におぼれ、もがいていました。高校生の時にわら一本の革命とパーマカルチャーに出逢い、深い感銘を受け、これこそ自分の目指す生き方だと思ってはいましたがすぐに実践できる資金もなくまずは働いて資金が貯まったら土地を買って農的生活をしようと考え仕事につきました。しかし都会の生活は思っていた以上に理想とする生活と違いこのままではいつまでたっても農的生活は送れないと思い、会社に辞表を出し、理想の地を求めていた時、鴨川自然王国に出会い研修生として1年王国に住み込みをする事になりました。当初は自然農の農園を持ちそれが糧になればいいなと考えていましたが、様々な人と交わり土と共に生活をしていく内にこの農村の生活の素晴らしさや風景が失われつつある事がもったいなくて何とかできないものか、と感じる様になりました。村のあたり前の生活、お米や野菜を作り、加工して漬け物等にする技術。地域の祭りや草刈りなど、生活そのものが何百年何千年という時間をかけて作りあげ受け継いできた文化だと私は思います。私もその文化を受け継ぎさらに良い形にして次の世代へ伝えていきたいです。
 最後に、私を育ててくれた両親や兄妹、親友、恋人、恩師や今まで出逢った全ての人たちに感謝の気持ちと沢山のありがとうを。鴨川より愛をこめて。


帰農塾を終えて
M.U

 先週末の「棚田チャレンジ」のイベントより始まった鴨川生活は、あっという間に時間がすぎ、今日の日を迎えました。
 東京に住み続けて20年余り、農というもの全く知らない私が、農に関わることができるのか、やっていけるのか、とても不安でした。けれどもここの生活が始まり、いろいろな人と語り合う中で、その深さ、奥行きにひかれ始めました。結局、「体験」で来たつもりが、そのまま研修生として、この王国に関わらせていただくことになりました。
 幼少の頃よりのアトピーの体験、世界的な経済危機、それらはみな、今までの暮らし方、生き方の限界を示していました。
 せめて、私自身の自給率をあげたい。帰農塾の中で、東京は自給率1%、神奈川は2%だと伺いました。ただひたすら、消費を続けるだけの暮らしに、漠然とした疑問を持っていました。このまま経済が崩壊したら、都市生活者は、即、物が食べられなくなる…。このままでいいはずがない。何かを変えなくては。そのような思いが、私をここまで引っぱってきたのかもしれません。
 来てみて正解でした。東京での私が、まるでうそのようです。ここには、当たり前の暮らしが、当たり前にある。そのことがいかに私の心を、命を助けてくれるものなのかが分かりました。東京にはたくさんの楽しみがあるけれど、ここには、本当の生きた喜びがある。そのことが、こんなにも私自身を、周りの人を無理なく自然に健やかにするものだと知りました。本物の暮らしがあれば、形づくられた教えも教育もいらないのだと思いました。

は~こっちに来てみてよかったです。
以上


久々の帰農塾
H.K

 「人生二毛作」、なるほど。私の職場では大多数が、定年後も何らかの形で自らの培ってきたものを継承してゆきたいと考えている。「人生二期作」である。私の場合 、定年後に今までの生業とは異なる生活を夢に描いているので「二毛作」ということが出来る。帰農塾の参加者は多少なりとも将来の生活の中に「農」を取り入れることができるかを模索している。今回は総勢8名と参加者数は少なめではあるが、彼らの「農」への強いあこがれを感じた。講師やスタッフの方々は当然すでに「半農半X」の実践者である。
 自分の定年後の人生が少しだけ具体化したこの時期は、再び帰農塾で、これらのユニークで魅力あふれる方々と接することができたことは意義深い。自分の描く「半農半X」の生活が少しずつではあるが、見えてき始めていることを強く実感した。将来の農的生活に対する一抹の不安は懇親会の盛り上がりの中に消えていった。農的生活に求められる「人との触れ合い」を学ぶべく再び帰農塾にもどってきたいと考えている。


三度目の参加
T.K

 十一月の帰農塾は三度目となります玉ネギ植え、炭焼き、間伐、そば打ちと、初心者から進歩がないものの、楽しくおいしく体験できました。座学も、いつものように学ばせていただくことが多く、クマさん共和国のお話も、クマさんのエネルギーに圧倒されて、元気づけられました。自分が本当に何かを為したければ道は開けるのだと、思いを新たにしました。
 三日目午前中の棚田見学は、五度目になりますが、毎回新たな見聞があります。今回は田圃の美しさに加え、背景の山の趣も素晴らしく、折節の美しさに気付かせてくれました。移住者訪問ツアーでは、移住者の方々の前向きで活動的な充実した姿に感銘を覚えました。適度な広さでの自給自足に近い生活にはやはり魅力を感じます。無理をしないで自分の身の丈にあった農的生活ができるなら、自分にできるかどうかをあまり心配せずに、まず始めてみてもいいのではないかと思うようになりました。定年後はそうした方向でと思っていますが、鴨川での移住者の方の生活にふれて勇気づけられています。
 移住するということは新しいコミュニティーに入るということですので、そこで生活を始める者にとって、一番大きな問題が人間関係だと思います。ともかく対話が大事だということを体験談として教えて頂いて感謝しています。理解すること、理解してもらうことを心がけていれば、どこにいてもきっと道は開けるのでしょう。
 スタッフの皆様、熱心な、親身になって下さったお話をありがとうございました。そしておいしい食事とあたたかいたき火。また伺わせて下さい。参加者の皆様方ともたのしくお話しできて、あっという間の三日間でした。


言葉との出会い「半農半X」
S.S

 現在の世の中の行き過ぎた経済至上主義の中で急速に失われていく、本来の人間らしい暮らしや、正統な評価なく廃れていく地域の伝統文化。そんな話を聞く度に胸を痛めていただけの自分が、「実際に自分がまず変わってみよう」と思い始めたのが数年前。それからいくつかの場所に行き、イベントに参加し人に話を聞いてきたが、やはり何かが足りないと感じていた。そんな中、出会った言葉が「半農半X」。すっと入った。
 自分らしく生きる(X)ための農的生活。これこそ正に自分が踏み出すべき第一歩ではないか。
 鴨川自然王国の里山帰農塾に参加し、その思いはより強くなった。日本の縮図のような土地に残された原風景や地域伝統文化。そこには、物質に支配されていない人々の幸せな顔があった。一人で生きていけないことを理解し、お互いに助け合う、都会にはない深いコミュニケーションがそこにはあった。そこに、他人や地域文化を尊重したうえでの自由な発想が形になる新しい文化を、外からの移住者達が作りあげていた。わたしはそこに、日本の可能性と自分の未来を感じることができた。
 もちろん、今回はわからなかった問題や困難もあるだろう。生活の変化への自分自身の対応力も未知数だ。ただ、それらも含めて、人生を楽しむということも、今回出会った魅力的な人々に気づかされた一つの大きなテーマであるような気がする。
 自分力を高め、自給率を上げ、そして、他人をより幸せにできるようなXを、YZを、見つける。作りだしていくことが、次の自分の最大の目標となった。
「半農半X」。
 未来に、この言葉が自分の転換点として残っているのではないかと、今から想像している。




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